月を描いたピエロの物語

【月を描いたピエロ】

孤独なピエロは夜になるといつも月に話しかけていました
でも新月の日や天気の悪い日には、月が見えないので話しかけることができません・・
そこである日、月を描くことにしました・・

ピエロが月の絵を描いているとき、♪タッタンタラリラ・・♪
描きかけの月の絵の中から微か音楽が聞こえてきます。
♪タッタンタラリラ・・♪


鳥の家族や興味津々の猫が、何ごとか?とやって来ました
ピエロは夢中で月の絵を描いています
この月の絵を描き上げたらいつでも月と一緒に居られるんだ
いつでも月に話しかけられる
そうするとわたしは孤独ではなくなるぞ

♪タッタンタラリラ・・♪
できかけの月の絵の中からだんだんと大きくなってきた音楽が聞こえます
ピエロも音楽の軽快なリズムにのって絵を描き続けます

あたりが暗くなってきました
雪が降りはじめます
今夜は新月の日で本物の月は見えません
.
.
.

しかしとうとうピエロが描いた月の絵はできあがったのです

満月に描かれた月の絵からは光があふれだし音楽が大きく大きく鳴り響きました
月のシンフォニー・・
とてもうれしくなったピエロは月の前で踊りだしました・・
♪タッタンタラリラタッタンタラリラリラリラリラリラ・・・・♪
  ・・ ピエロは夢中で踊ります ・・
♪タッタンタラリラタッタンタラリラリラリラリラリラタッタンタッタ・・・♪
                          


    
↑【月とピエロ】Ⅱ 平成27年作
アクリル画(キャンバス) SМサイズ
    
どのくらい踊っていたのでしょうか・・・
ふと気が付くと、ピエロが描いた月の絵が少しずつ昇りはじめていました
そして、月の中から「こちらへ・・・」という優しい声が
 聞こえたような気がしました
ピエロは、その月の中に一歩足を踏み入れてみました

すると・・・
目の前にキラキラと輝く白い道が、沢山の綺麗な花々に彩られて現れました
月のウサギが一輪の花を差しのべ、うれしそうに出迎えました
「ようこそ!」

↑【月とピエロ】Ⅲ 平成28年1月と、
追筆で、平成30年8月完成
アクリル画(キャンバス) SМサイズ


興味津々の猫がピエロの肩に乗ってきて言いました
君は自分の月を描くことで、随分と素敵な居場所をを創りだしたものじゃないか
鳥の家族もいつの間にか帽子の先っぽや筆にとまって言いました
「そして、この道の先には私たちの住む家もあるみたいですよ」
ピエロは、猫や鳥のしゃべり声が聞こえたのに少し驚きましたが、
それは、楽しく、とてもとてもうれしいことでした

こうして、孤独だったピエロはもう一人ではありませんでした
おしゃべりができる仲間と、自分で描いた優しい月と、これからずっと一緒です
そして、なにより生まれて初めて得た自由がここからはじまるのです
(おしまい)

 
【孤独なピエロの背景】
 ある国の大きなお城の片隅の小さな部屋に、一人のピエロが住んでいた。ピエロの仕事は、この国で一番偉い王さまのご機嫌をとること。王さまというのは、国を治めるのが大ごとなので、機嫌が悪い日が多く、いつもピエロをそばに呼んでは、グチを聞かせたり、自分を笑わせるように命じていた。時にピエロは王さまの凄まじい罵声を浴びることもあった。
 ピエロは生まれつき身寄りもなく・・・、街の小さな舞台で人々を笑わせる芸だけで生きてきた。ピエロの芸はそのころ評判を呼んでいた。そんなこんなである日、ピエロの芸はこの国の王さまの目の留まることとなり、半ば強制的にお城に連れて来られた。それから何年、いや何十年とこのお城に住んでいる。お城の敷地外に出ることはままならない。王さまの命令は絶対で誰も逆うことはできないのだ。
 時には、王さまが呼んだ客人の前でも、ピエロは芸を披露して笑わせたりしてもてなした。そして客人が帰った後、王さまは決まってピエロにグチをこぼす。王さまのグチは国を動かす程のとても大きな内容。よそに聞こえたら、すぐに戦にだってなりかねない。
なので、誰一人そんなことを話せる友達も居るはずもなく・・・。
ピエロはとても孤独だった・・。唯一の心の拠り所が夜に現れる月だけだったのだ。
と、
ピエロの日々の生活はおよそこんなものでした(これはあくまでも真季微の空想物語です)






※真季微さんの作品は「作品の紹介Ⅰ」作品の紹介Ⅱ」「小作品月とピエロの物語で ごゆっくりご鑑賞ください☆
※運命鑑定・占いは五星灯人の部屋へどうぞ☆


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4 件のコメント:

  1. なんてステキな絵なんでしょう!

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    1. リラさまへ
      はじめまして。
      ワ―、ありがとうございます。
      とってもとってもうれしいです!

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  2. 感動!絵も物語もステキ。色彩が綺麗。

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    1. るん様へ
      こちらにもコメントありがとうございます。明るい色彩に特に真季微さんはこだわって描いてますので、お褒めの言葉嬉しい限りです(=^・^=)

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